2019年3-4月、印象的だった10曲 2/3
2019年3-4月、印象的だった10曲 1/3の続きです。
#4 LOGAN - black
昨年のKATIEのリリース以降、しばらく目立ったリリースの無かったAXISがついに動き出しました。
AXISは元YGのクリエイティブディレクターであるSINXITYが立ち上げた事務所です。ただAXIS自身は「クリエイターが繋がって新しいものをドンドン生み出すプラットフォームを目指してるんやで!」ってなことを言ってました。
要するに大きく風呂敷を広げてたのですが、言葉とは裏腹に1年近くリリースが無いし、なんか日本で雑誌(ambitious ambition)出したりしてるし、これ風呂敷を広げまくった後に資金が足りなくなって迷走して頓挫する残念なパターンとなってしまうことを危惧してました。
が、唐突にKATIEがTy Dollar $ign*1をfeat.し、ついに再起動したと思ったらLoganとelanが計4曲リリースしました。
その中で唯一MV付きだったのがこの曲で、MVは謎ですが曲はとてもカッコいいです。LOONAのButterflyみたいな、フック部分に歌詞がないけど音色が印象的、という展開でした。英語の歌詞もひねった表現がないので読みやすくわかりやすいです。
この曲がリリースされたのはブルピンのコーチェラ出演直後でした。ブルピンが注目されたので、ブルピンをプロデュースしたSINXITY自身にもスポットが当てられる大チャンスにタイミングを合わせてきたのだと思われます。で、i-d、NYLON、WWD、Ginzaといったトレンドに貪欲な人たちが目を通してそうなメディアでインタビューを一斉に出してました。誰が仕切ったのかわかりませんが、広報戦略のお手本のような動きで個人的に唸らされました。
いずれのインタビューも大変興味深いのですが、総合すると88rising*2がもう少しK-POP寄りになったようなことを目指してるみたいです。AXISが提示するのはアイドルではないようですが、K-POPの先端的な動きのひとつとして今後も注目したいと思ってます。
#5 Summi - Noir
特にナムジャグルのデビュー曲あたりで「明るい・爽やか・元気・楽しい」みたいな概念を具現化したような曲やMVがあったりしますが、そういったものの対極にある「暗い・陰鬱・辛い・救いがない」を具現化したのがこちらではないでしょうか。
最後まで救いがなく後味も悪いMV含め、個人的にとても「揺さぶられる」1曲でした。なおMVはグロい描写もあるので苦手な人は観ない方が良いです。
タイトルの”noir”とはフランス語で「黒い」「暗い」「闇」という意味です。映画のジャンルで「フィルム・ノワール」ってのがありますが、スンミ自身がビルボードのインタビューでまさしくそのことに言及していて、「この曲はTwitterやInstgagramなんかのSNSからインスピレーションを得た。”Noir”は映画のジャンルだけど、私たちの世代の”Noir”はSNSだと思う」と語ってます。
SNSについて触れた曲だとDEANのInstagramという名曲がありますが、こちらも含め「みんなSNS使ってるけど実はこういう一面あるじゃん?」って音楽で指摘されるとだいたいギクッとくるよな、って思いました。
ボ、ボ、ボビー・ブラウンや!
ここでのボビー・ブラウンはコスメのブランドじゃなく、80年代後半〜90年代半ばにかけて活躍してたアメリカのシンガーです。ニュー・ジャック・スイング(NJS)が流行りまくった頃の初期に時代の寵児となった人で、たぶんヤンサとかモロに影響を受けてるはずです。
で、そんなボビー・ブラウンのEvery Little Stepって曲があり、NJSというジャンルを代表するクラシックなんですが、From NowにはピアノやベースでモロにこのEvery Little Stepを取り入れてる部分があるので相当意識したのだと思われます。
でも、決して下手なパクリでも懐古趣味でもなくて、上手く2019年のK-POPに昇華させててとても良いです。前作のRing Ring Ring含めNJS警察もニッコリでしょう。この曲が入ったアルバムもなかなか粒ぞろいで良いです。
前作に引き続きジャケットもLate80's-Early90'Sフレーバー丸出し(良い意味で)。TXTはBlue Orangeadeという楽曲単位で丸出しでしたが、VeriVeryはジャケットも丸出し、かつしかも2作続けてなのでもっと徹底してます。NJS警察もドン引きのレベルです。まだ見つけられてませんがこちらのジャケットも絶対元ネタあるだろと思います。
ここらでエントリ分けます!次はこちら。