2019年3-4月、印象的だった10曲 1/3
気がつけば2019年の1/3が過ぎ去ってしまいました。しかも平成も終わってしまいました。早い...。
ということで、令和最初の「印象的だった曲」シリーズの3-4月分を書いていきます。曲の順番は評価ではなく思い出した順番であり「印象的だった曲」でしかないので適当です。前回は15曲挙げてたのですが、今回はもう少し絞り込んで10曲にしてます。
#1 JBJ95 - Milky Way
魔法のかかった曲、ってのがあると思います。それが誰の何という曲か知らなくても、流れた瞬間に聴いてる人を高揚感や幸福感で包み込むような曲が。クラブやフェスでそうした曲の魔法を体験したことがある人は少なくないはずです。
このMilkyWayを最初耳にした時に感じたのは、ああ、これは魔法がかかった曲だ、いうことでした。冒頭の数秒で「ああ、この曲たぶんすごくいい」と予感させるキラキラしたループ。みんなが大好きな感じの四つ打ち展開。“Milky Way”という綺麗なタイトルとそのタイトルに負けない美しい歌詞。完璧です。
さらに、ボーカルが本職じゃないにも関わらずソフトに歌い上げるサンギュン(苦労したそうです)と、伸びやかなボーカルの健太の掛け合いも素敵です。この曲が初めて披露された時に場の雰囲気が変わったそうですが、それこそが魔法だよなと思いました。
この曲は活動曲じゃなかったですが、この曲が入ったEP「AWAKE」のベストトラックに挙げる人はとても多く、またEP自体も捨て曲無しで本当に素晴らしい出来でした。リリース後にtwitterで「JBJ95 アルバム」と検索すると絶賛の声しか流れてこなくて、しかもJBJ95ペン以外の声がとても多かったことからも察してください。
結果として、口コミで沢山の人が聴いてiTunesのK-POPチャートで堂々の1位。総合チャートでも確かTOP10近くまで上がっていました。極めて理想的な売れ方で、殺伐としたご時世に本当に良いものを見せてもらったなと思いました。
JBJ95については、プデュS2見てなかった人なこともあり、JBJ時代含め「名前は知ってるけど…」状態であまり存じ上げてなかったのですが、このアルバムで俄然興味もって前のアルバムも聴きましたし(こちらもまた良い出来なので未聴の方は是非)、JBJ95のアカウントもフォローしました勢いで。
なおこの曲、歌っている2人だけでなく作曲側も日韓チームです。
日本側はMAYU WAKISAKAさん。知ってる人も多いと思いますが改めて紹介すると、日韓双方で楽曲提供してる売れっ子な作曲家です。Orbit的には何と言ってもLOONAのHi-Highだし、TwiceのKnock KnockやDTNAやBDZ、fromis_9のLOVE BOMBなど楽曲提供でも知られます。
さらにソシやMissA、日本でもMisiaやRIRIや西野カナやw-inds.、また中国語圏のシンガーにも楽曲提供しておられるようです。
またこの方、経歴がユニークというか強烈な方です。
京大法学部卒→大阪市立大ロースクール→中退してLAミュージックアカデミー→シンガーソングライターとしてソニーからデビュー。いきなりハイレゾウォークマンのプロモーションに「Fall」が採用される→その後K-POPグループへの楽曲提供を行うようになり売れっ子に、というご経歴だそうです。
個人的にもFallが印象的で良い曲だなと記憶してたので、「あの曲の人がK-POPの作曲家に!」とかなり驚いた記憶があります。
韓国側の作曲者のTOYOさんは情報が少ないのですが、弘大広告学科出身、ニックンやTHE BOYSやガッセへの楽曲提供経験があり、そして何故かIdiotape8*1のリミックスも手掛けてます。JYP Publishing*2所属のようです。
また作詞は元ワンガのヘリムも参加してます。って、何でJYP関係者が多いんでしょうね?偶然?MAYU WAKISAKAさん人脈?背景はよくわかりませんが、とにかくこのAWAKEが良かったのでまたこのチームで組んでくれたらと願ってます。
#2 TXT - Blue Orangeade
この曲を初めて聴いたのは朝、ベッドでまどろんでる時でした。二度寝を防ぐためにtwitter見たり音楽聴いたりニュース見たりしてるんですが、「そういえば昨日ってTXTのEPがリリースされたんだよな」と思って聴いてみた、という状況です。
で、最初のこの曲の導入部分でびっくりして目が醒めました。なんですかこの音!GUY?GUY?ってなったんですよね
これを読んでるほとんどの人はGUYというグループを知らないと思いますが、80年代後半にニュージャックスイングというジャンルを最初に流行らせたグループです。この曲はGUYがやってたこととはまた少し違うといえば違うんですが、TXTってこんな80年代後半〜90年代前半丸出しの曲をリリースするんだ!いいぞもっとやれ!って思いました。
しかも、"Hey You like 2Pac, I like biggie biggie"っていうフレーズがあるんですよね。これ90年代のヒップホップ知らないとわからないリリックで、90年代、若手2大スターとして台頭し、しかし暗殺されてしまったラッパーの2Pacとノートリアス B.I.G.という2人のことを指してます。なぜ暗殺されたのかは超長くなるので興味のある人はこれ(↓)を読むといいです。
そういう予備知識がないとわからない歌詞を埋め込む意図とは??とは思ったものの個人的に湧きました。USのK-POPファンダムはアジア圏より年齢層が高く20代後半以上が多いそうなので、アジア圏よりもUSのArmyを狙い撃ちしているのかもしれません。
youtu.be"KILL"! "THIS!" "LOVE!"ですよ。最初タイトルを目にした時、なんちゅうタイトルやねん、と誰も感じたのではないのでしょうか。普通LOVEはKILLしません。
が、MVを観て「そういうことかー」と思いました。おそらく世界中の誰にでも伝わる"Let’s kill this love!”というストレート過ぎるメッセージ、そして耳にこびりついて離れないフック。2010年頃にフックソングという、印象的なフック(サビ)を繰り返すスタイルが流行りましたが、ブルピンがやってるのはこれの最新版だと感じました。
さて、この曲を引っさげて乗り込んだコーチェラ。YouTubeのストリーミングを観てた人も多いと思いますが、本当に素晴らしいパフォーマンスでした。個人的には特にジェニの気迫が凄まじかったのが印象的でした(DU-DU DDU-DUでのラップ部分とか)。
世界中に沢山のフェスがありますが、欧米ポップミュージックシーンへの影響力では別格なのがコーチェラです。そんなコーチェラへ全てを集中させた感のあるブルピンですが、ライブでのオーディエンスの反応やSNSのレスポンス、そしてUS各種メディアでの取り挙げられ方などを踏まえると、結果は大成功であり、グローバルなポップミュージックシーンでの存在感が一段階上がったように感じます。
その証拠にこの曲はビルボードのHOT100に入りました。これはかなりすごいことなんですが、「え?BTSがビルボードの首位に入ったでしょ?」って思う人が多そうなので説明します。
日本でチャートと言えばオリコンの週間シングルチャートが思い浮かびますが、ビルボードには複数のチャートが存在します。K-POPが関係するのはワールドチャート/BillBoard 200/HOT100の3つで、後にいくほどランク入りするのが難しいです。
- ワールドチャート :日本だと「民族」や「ワールド」にカテゴライズされがちなイギリス・アメリカ以外の国の音楽のチャート。K-POPが猛威を振るっておりTOP10の半分以上はK-POPグループ。
- BillBoard 200 :フィジカル(CD)&ストリーミング合計による売り上げのチャート。オリコンに一番近い。
- HOT100:売上に加えてエアプレイ(ラジオでの再生回数)が加味される。ラジオはリクエストに沿って選曲されることが多いので「アメリカで本当に人気のある曲」がランクインだけがシステム。チャートインするのが一番難しい。
で、Kill This Loveは3つの全てにチャートインしたのですが、TOP100に入ったのでブルピンがガチでアメリカで流行ってる、っていうことを示すものだと思っておけばOKです*3。
「文化の盗用」という概念は日本でマジョリティー側の日本人として生活してると理解しづらい概念ですが、「弱い立場にある側の文化を、強い立場にある側がリスペクト無しで真似し(パクって)てること」を指します。
日本で事例を挙げるなら、「ある地方の方言を、その地方出身者じゃない東京からやってきたタレントがウケ狙いで真似してるけど、地元民からすればかなり不愉快」とか「女子高生の流行語を中高年のおっちゃん達がやはりウケ狙いで真似してるけど、意味が微妙に違うし馬鹿にしてるし何よりキモい」といった状況が近いかなと思います。
こうした指摘や炎上は、K-POPのファンダムがグローバルに拡大し続ける中では避けられないことだし、早いうちにプチ炎上して学んで積極的に克服して欲しいと思います。
ただ心配なのはYGがそうしたことに無頓着なのではないかってことで、ヤンサは神経質さと無神経な部分が共存してる人だと思うのですが、このへんは彼の無神経な領域な気がするんですよねー。ブルピンのキャリアに影響するレベルの大炎上が起きないことを祈るばかりです。
ということで次に続きます。